CASE STUDY 10
PLACE

愛知県名古屋市

OVERVIEW

ハイエンド住宅

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スマートな表情と品格を。

白さが際立つ石造りのファサードに、黒のスチール門扉がハマった時には、その品格と、角度や時間によって切り替わっていく表情に惚れ惚れとしました。同時に、私たちが作りながらイメージしていたものを越えて、実際に現場において仕上げが行われた時に、理解していたものを越えた情景に感動します。 当案件の鍵は、この白い岩肌とスチールの黒さの対称性と、かなり細身の部材をチョイスされていることから、強度と品格とを併せ持った仕上がりにしていくことでした。我々は、モダンな日本テイストに対してのこだわりがあり、経験もありますが、いつでも新しい案件では、イメージの齟齬が生まれないか気を使います。結果は最後にならないとわからないのですが、我々は勉強も兼ねて類似の物件や建築物の下見にも行きます。素材感や仕上がりのイメージを常に具体的にしておくことも一種のトレーニングだと考えています。

スチールがもたらすスマートさ。

マットでブラックに仕上げられたスチールはスマートです。もちろん太さによりますが、細さや薄さが際立つほど、空間にスマートさをもたらすことができます。同時に、スチールの硬さはしっかりとした重厚感の演出に役立ちます。これによって、スマートさと品格を同時に演出しながらも、堅牢性が求められる部分での使用に適しています。 とはいえ、接合部は粗い仕上げでは台無しです。アイチ金属は、木工技術を応用した接続部の仕上げにより、まるで鉄と鉄で組まれているような仕上がりを実現することができます。この技術を習得することも困難でしたが、このアイデアに辿り着くまでにはそれこそ何年もかかりました。建築分野で鈑金加工のアイデアというのはどうしても分野内からなかなか外に出ません。そのため、自分たちの外の領域にまで研究開発の目を広げていくことは、想像以上に大変です。

手すりにも絵になる美しさを。

大きな物件においては、門扉ですら、さらに言えば、手すりは添え物に近いでしょう。しかしながら、白亜における黒は想像以上に主張し、白を引き立てます。手すりの形状はシンプルであるがゆえに難解で、ゆえに設置時の存在感には強い納得感がありました。 このタイプは、薄手のスチールを並行方向に曲げながら強度と接合面の美しさを演出する工夫が必要です。足と手すり部分の接合面は、全く目につかない部分ですが、もちろん覗き込んだ時に溶接面が目に入ることがないように、しっかりと処理を施してあります。小さくても大きな存在感のある手すりの構築に全力を注ぎました。