CASE STUDY 25
PLACE

アイチ金属

OVERVIEW

技術事例

1
ストーン&メタル。

石とメタルの相性が良いのは、もとより金属は自然界においては鉱石として存在していることに起因しているのだろうと思います。しかしながら、人工的な加工プロセスを得て産業用金属へと姿を変える金属の方が、圧倒的な耐久性能を誇ります。これは人のなせる技です。 精錬された素材が階段になるとき、金属はフレームから意匠まで一人何役もこなします。しかしながら、金属だけではやはり印象が無骨になることに変わりはありません。塗装は有効な手段ですが加飾のようなものになればコストが跳ね上がります。そこで、石材や木材がセットになることで印象値はグッと変わってきます。この表情の変化は、本当に面白い。今回の案件は、人工大理石を踏み板として採用したもので、フレームである金属が石材の脆弱性を支え、同時に意匠性を際立たせています。

直線的なフォルム

本案件の特徴は、その直線的なフォルムにあると言えます。全体的に面ではなく線で構成されていることからも、重量感や圧迫感を希薄にする効果をもたらしています。階段を設置するには少し幅の狭い空間を大胆に活用しています。部材の造作はシンプルに見えながらも、接合部などに一定以上の強度が必要なため、こちらも細部にわたる品質チェックが欠かせません。 シンプルに見えて、設置にも気を遣うタイプです。工事は並行して行われているため、階段設置に与えられている時間は短く、常に緊張感をはらんでいます。しかし部材そのものの重量は重く、スペースも限られているとなれば、人力での地道な設置なため事故が一番怖い。作業の段取りも、我々の階段と建築に精通した知見からトラブルが最も少なくなる最適解を常に求めての作業です。

安全性と信頼性

結果的に、階段や家の部材にもとめられる第一は意匠ですが、すべての前提とでも言うべきさらに重要なことは安全性につきます。特に階段には、絶対の信頼感を感じなければ人が感じる恐怖感は尋常なものではありません。高いところにいるから、ということもあれば、落ちてくると考えれば、ということでもあるのです。 部材加工から施工まで、そのすべてをアイチ金属が背負うということは、我々がそこの安全性を徹底して追求しようと考えている姿勢でもあります。もちろん、簡単なことではありません。むしろ緊張感しかないといってもいい。それでも、建築に関わる金属部材を作ると言うことは、なにより信頼性を感じてもらわなければ成立しないのです。当たり前でありながら一番難しいことと、愚直なまでに向き合い続けて参ります。