CASE STUDY 14
PLACE

アイチ金属

OVERVIEW

技術事例

1
4M管理のエッセンス。

とあるきっかけで、新潟県燕市の先端加工を受託している複数の企業とのネットワークができ、燕市を来訪しました。最初の緊急事態宣言があけた、2020年半ばのことです。半導体やロボット、エネルギーといった分野の案件を受けている企業だったため、扱っている金属の素材も、加工機械も段違い。自分たちが職人の手にフォーカスしているのに対し、向こう側は職人のノウハウにフォーカスした企業運営でした。 ここで、4M管理という言葉に出会います。これは、4つのM=Man・Machine・Material・Methodをどのように管理し、品質につなげていくかというものです。たとえば半導体の世界では、工程管理方法を一度決定すると加工する人や加工機械、加工道具ひとつにいたるまで変更することが許されません。現時点における究極のトレーサビリティが求められるのです。しかしこれは、中小企業の経営方法にとっては多くの矛盾点が生じることになります。この点は一体どのようにクリアしていくのかなど興味がつきません。

夢の話ではありますが

中小企業の現場においては、様々な経営ノウハウが駆使されて収益を出しています。たとえば、機械、人、時間、納品スケジュールといった要素を都度やりくりしながら、空いている機械でできる作業を優先し、人も熟練したものにしかできない作業とそうでないもの、時間も朝、昼、夜、残業、納品スケジュールを前倒しして新しいものに時間を作るなど、その日常的なやりとりはとにかく慌ただしく流動的です。このやりくりがスピーディになっていけば行くほど、余裕を作り出すことにつながり、余裕がそのまま収益になることが多いです。 しかし、4M管理はこれが許されない。すると中小企業の収益は一気にコントロールが難しくなります。しかし一方で、4M管理で鍛えられる行為そのものはとてつもない企業バリューの向上をもたらす可能性があります。そもそも、流動的だったやりとり”しか”我々は知らないわけですから、その対極にあるやりとりで収益が計算できるようになれば、明らかに企業の対応力、幅、ノウハウレベルは劇的に向上するでしょう。しかし、4M管理に過渡期はなく、いざそうした発注がくればやるしかない。さて、この中で、たとえばアイチ金属であったらどんなやりとりが考えられるかを思考していたりします。

エッセンス

たとえば我々であれば「Man」部分の対応は可能かもしれません。当然職人にはクオリティの差があります。特にVeroMetal関連で言えば、我々のパートナー企業に日本No1に輝いた塗装企業があり、この企業でなければ対応できない品質があります。たとえば、我々にご依頼いただくときに、求める品質に応じてリピートのオーダーをすべてそうした企業で決定し、担当者も固定することで、より安定した品質管理を実現することができるでしょう 一方で難しいのがMethodかもしれません。弊社の場合は、本質的に手作りなため、一見すべて同じ仕上がりでも細部の細部を見るのであれば微妙な違いあります。特に加飾処理で、金属表面全体にムラを作る場合は、全く同じムラを作り出すことはほとんど不可能です。こうした部分で、仕上がりそのものに全く同じものを作り上げるMethodはありません。一つ一つではいろいろな対応が4M管理はできる余地があるようにみえて、さらに4つ全部を完璧にコントロールするのはもうお手上げです。しかし、この視点が我々の経営やワークフローのアップデートに生きることはほぼ間違いない。少しずつ追求しながら、自分たちのノウハウに加えていきたいと考えています。