CASE STUDY 11
PLACE

愛知県名古屋市

OVERVIEW

個人邸宅門扉

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モダンを表す門扉。

日本的なモダニズムはミニマリズムと近しい関係にあります。特に千利休が作り上げた品物は、素材そのものの特性を最大限に生かすことで、無駄が削ぎ落とされたミニマルな形状となりました。鉄、釉薬、竹、漆、木、そして茶室に至るまでその精神は息づいており、現代日本のモダニズムに通じていると考えています。一方のヨーロッパに端を発する西洋文明は、ゴシック、バロック、ロココなど無数の様式を生み出しながらも、共通して華美で重厚感のある特徴を継承しており、それはパリやロンドンといった街並みをみてもよくわかります。 こうした中で、現代における日本的なモダニズムは、建築領域においてはコンクリートやスチールといった素材の中に、意匠を極限まで削ぎ落としたアプローチが磨き上げられています。アイチ金属の作り上げる品物にも、こうした流れを継承し、シンプルなスチールの形状に品格をどのように作り上げていくのかを追求しています。同時に、接合面やビス留め部分の処理にもこだわりを持っています。

建築家の意向とできることの狭間で。

とはいえ、もちろん我々は部材を作り上げる事業者なので、建築全体のことを決定する立場ではありませんし、施主様と直接会話することも稀です。従って、私たちは施工する企業や建築家の意向を理解して、それを具現化するために存在しています。この時の会話において、我々が単なる加工するだけのチームであれば、やはり意向の具現化は難しいでしょう。 たとえば塗装一つとっても、我々は実にさまざまな研究開発を実施し、その結果より美しく、より耐久性が高く処理できる技術を習得しています。建築業界において塗装の扱いというのは強度が優先されるため、意匠性においては限度があると考えられています。しかし我々は、車の塗装が何年も全く耐久性を変えることなく美しい点に着目し、方法論や設備をすべてマスターした上で自社に導入しています。これ以外にも、さまざまなアイデアを社会の知恵を借りながら具現化しノウハウに変えてきました。

見えるところは全部。

結局のところ、私たちの仕事に”見えないところ”は存在しません。本案件では、室内の階段なども弊社にて手がけていますが、これは大変わかりやすい事例です。階段は基本的に裏側は目に触れることがありません。しかし、空間にこだわりを作れば作るほど、階段の存在感もまたひとつの衣装そのものです。従って、スチールとウッドを組み合わせ、軽やかでありながらもしっかり意匠性の高い意図が盛り込まれます。 すると、階段の裏面はもちろん目に触れるところになるのです。表はウッド、裏はアイアンが見えてくる。この時の溶接面はどのように考えるべきなのか。空間の意図は何か。階段である以上、強度や耐久性はマストで必須です。こうしたすべてを理解して具現化できること。これがアイチ金属の理想です。もちろん、簡単ではありません。それでも、我々が単なる加工屋にとどまらず、誰かの”パートナー”として選択されるためには必要不可欠な企業姿勢だと考えています。