CASE STUDY 3
PLACE

愛知県名古屋市

OVERVIEW

リン酸処理

1
リン酸処理の補修施工。

リン酸処理は、金属加飾分野においては比較的ポピュラーな技術であると思います。金属表面に、石英のような石づくりのような加飾表現ができあがるため、モダンでスマートな印象を提供できます。かつては比較的大規模なビルのファサードなどに用いられることが多かったですが、現在では住宅の門扉などにも応用され人気です。しかし、ポピュラーであるが故に処理が難しく、特に耐久性を重んじた場合はしっかりしたプロに依頼しないとトラブルになることが多い傾向にあります。 今回弊社にやってきた依頼がまさにそうしたものでした。リン酸処理後にしっかりと表面コーティングをしていないため、雨水や湿気などに耐えきれず、表面が白化して汚らしくなってしまっている現場です。これは、最近ではかなり多くみられる傾向ですが、最初に手がけた業者の知識不足や研究不足が原因といえます。とはいえ、業者さんだけが悪いわけではありません。しっかりとした施工はコストがかかります。発注側の知識不足もまた重要なポイントになり得ます。

一部の補修では難しい。

さて、今回の補修は、全面やり直しがベストです。一部補修でいけそうに見える案件でしたが、リン酸処理したところは光を吸収します。しかし、塗装で対応するとその部分だけ光を弾くのです。いわば、絆創膏をはったように塗装で対応した補修箇所だけが目立ってしまいます。 本来であれば、溶亜鉛鍍金を行なった後に、リン酸処理をし、その上から白サビ防止処理として様々なコーティングからベストなものを選出するので、その工程全体がどのように行われ、どこが欠けているのかはすべてその場で想像するしかないため、一部補修を選択するのも難しい。そこで、我々は研究を重ねてきた新しい方法を試しました。

作り出すテクスチャ。

まず、VeroMetalの亜鉛を吹き付けています。この時、複数色の亜鉛を作っておいて用意しておきます。で、いくつかの型紙を用意するのです。そう、つまり塗っていくんですね。リン酸処理した部材は、実の所やり直すしか方法がないのですが、今回はすでに家の外壁に設置されたものでした。そこで、色を作り、同じテクスチャを「作る」方法で処理したのです。 VeroMetalの亜鉛は塗装ではなく、金属そのものなので、リン酸処理部分と同じ質感が作り出せるのです。今回はこれによって、ほとんど完璧に見分けがつかない補修を行うことができました。この方法は、これまで研究してきたものです。アイチ金属では、日常的にいろいろな研究を行っています。いろいろな現場で生きているので、またご紹介していきたいと思います。