CASE STUDY 22
PLACE

アイチ金属

OVERVIEW

技術事例

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ブックシェルフを縁取るメタル。

スチール製のキューブが並ぶブックシェルフはジャングルシェルフとも呼ばれ、空間内に印象的なフレームを作り出してくれるアイテムです。真面目さと軽やかさを兼ねそろえ、さらに大容量の収納という機能面でも優れていることから、人気のインテリアアイテムとして採用されることが多い印象です。しかしながら製作は簡単ではありません。ここには、溶接、鈑金、塗装、精度などなど、無数の緻密な職人技が詰め込まれることになるからです。仕上げの品質に大変気を使います。 たとえば、連続する立方体のサイジングが1mmでもずれていけば、最初と最後の差は取り返しのつかないほどに広がります。一つ一つのキューブの位置決め、溶接処理の際の精度出し、さらに表面に溶接面が来ない仕上がりでの見た目のケアなど、仕上げていく時に注意すべきポイントは多岐にわたるのです。

連続性がもたらす空間の規律

精度も技術もかっちり噛み合った時のジャングルシェルフは、空間に配置した瞬間に例えようもないほどの品格をもたらします。これこそが精度が生み出す規律でもあります。連続性がある品物の最大の魅力の一つと言っていいかと思います。 また、シェルフに木材をそこにあしらえば、適度なコントラストが生まれます。空間に華やかさと優しさが加わります。木材は吸湿性に優れた素材でもあることから、金属と比べれば比較にならないほど変化します。こうした有機的な素材が金属のインテリアと噛み合うと、さらに魅力が醸し出されてきます。限られた空間を効率的に使うという意図と、その存在自体を意匠に仕上げていくというデザイナーの意図がはっきりと現れます。

試作と検証

納品までのプロセスは、加工だけではありません。実際に工場内で設置を想定した組み上げと、バランス、精度の検証は何度も行います。塗装においても同様です。とにもかくにも、誤差をどんどん検証して減らし完璧な精度を実現する。この一点が最優先であり、この実現の向こう側に仕上げの品質へのこだわりが成り立つのです。 溶接面を見せない、塗装面の均一性などは、最終納品物としてアイチ金属にとっては当たり前に実現できていなければなりません。しかしながら、この一点の実現には、設計段階の理解、制作過程に関する理解と研鑽、職人の習熟度、素材の精度などなど、無数の要素があってできあがるということを常に実感できるのがジャングルシェルフなのです。