東京
技術開発
ハイエンドな溶射仕上げ製品
金属の加飾においては、その表情の多彩さが魅力です。表情を作る方法はさまざまですが、代表的なところでいえば、磨くことによるツヤ、削ることによる意図的なライン、化学反応によるモヤのような変色などがあります。そうした中でも、表面にテクスチャを作り上げていく方法は、金属に全く新しい表情や、光が当たった時の凹凸など、複合的な表情を作り出せる方法として人気です。 しかしながら、簡単に作っただけの表面だと、環境的な要因によって簡単に剥離してしまったり、ちょっとした衝撃で剥がれるなどの問題があります。そうした中で、溶射技術は溶かした金属を溶射する為、亜鉛による犠牲防蝕だけではなく意匠性ある高級な製品に仕上げることが可能であり、我々はこの技術を磨き上げてきました。
磨き仕上げの種類
そもそも、溶射処理は弊社の専売特許ではなく、耐腐食性能や強度を上げるために、昔から建築分野や船舶の分野などではポピュラーに使われてきたものです。しかし、加飾処理という分野においては設備投資がある程度大きなものになるため、コスト面などを考え検討されてこなかったという歴史があります。弊社においてはこれらにトライしたのはすでに5年以上前。設備をはじめ、技術的なトライアンドエラーや研究を重ねており、加飾分野における溶射処理で研鑽を積んでいます。 溶射によって作り出せる金属肌は多彩です。荒さと細かさだけでも、鋳肌、鮫肌、柚子肌とさまざま。そこに、ブラシ仕上げ、加飾+磨きをかけていけば、溶射表面の凹凸がそのまま模様となり表情も豊かに出ます。そのほかにも、塗装などを組み合わせていけば、無限の表現力となります。さらに溶射の強度が極めて強いため、耐久性能も優れています。
意匠性の幅を広げる金属ラインナップ
溶射は、高温の金属を吹き付けるため、素材によっては歪みや溶けることがあります。とはいえ、相手が金属であれば幅広いものに対応できます。たとえば、銅・真鍮・青銅・アルミニウム・ステンレス・鉄などです。重要なのは封孔処理です。ステンレスなどの場合は、元の素材が錆びないためそこまで気を使わなくても良いですが、鉄などの場合は腐食性能を高める必要があります。 したがって、加飾処理と同時に、丁寧な封孔処理を施さなければそこから錆が生じたり、風雨による腐食が生じる可能性が高まります。もちろん、我々はこうした部分での研究開発を進め、現在ではほぼ問題がおこらない処理を実現しています。加飾と溶射の可能性は無限です。しかしながら、設備、研究、実践、改善といったすべてが揃っていなければ応用が難しい処理である、とも言えるのです。