CASE STUDY 28
PLACE

アイチ金属

OVERVIEW

技術事例, 案件事例

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唯一無二の玄関メタル。

玄関は不思議な存在です。入り口であり出口でもあり、どんなに巨大な住宅やビルでも、玄関にあたる部分を人は必ず探します。したがって、小さくても大きくても、玄関というものには必ず目がいくものです。そのため、玄関の素材や仕上がりにこだわる施主さんも多く、我々のところにも、玄関仕上げの依頼が数多くやってきます。 玄関の基本はいくつかの素材を積層させた一枚の板です。もちろん、建築物に収まった時に隙間が開いたりしては使い物になりません。そのため、さまざまな寸法や設計上の妙が詰め込まれています。当案件も同様です。特に、玄関の持ち手部分が縦幅いっぱいに設置されているタイプであることから、きっちり平行をとるなどの基礎技術が重要です。

クリアコートの手法開発。

この扉には、アイチ金属の研究開発チームの力も生きています。それがクリアコートの処理です。この扉は、まず亜鉛による防蝕処理を行なったのちにVerometal® HDのブロンズを施しています。その後、酸化処理を行いながら加飾ムラを作り出したのち、クリアコートを実施して強度を高めています。しかし、このクリアコートが大きな課題でした。 そもそも建築部材の多くは、傷つくことなどが前提に作られているため、塗装に関しても耐久性重視の手法が主流となっています。この観点でみれば、金属の加飾処理は極めて繊細な部類に属していることから、仕上げのコーティングは耐久性という観点でも経年変化という観点においても特に重要度が高くなります。とはいえ、建築分野におけるクリアコートでは、加飾処理の良さが大きく損なわれることがわかっていました。我々のニーズに応えるようなクリアコートを見つけるために、研究開発チームがさまざまな製品を試しながら検証した結果、最適なクリアコートにたどり着き、さまざまな努力を経て活用法を確立することができました。

幾重にも重ねた強靭性。

全体的な処理としては、まず亜鉛で防蝕し、青銅と酸化処理剤による技術で加飾、さらにクリアコートで強靭性を作るという流れです。それぞれの工程ごとに経験豊かなスタッフが品質管理を徹底しています。結果的に、建築物にもたらされる表情を劇的に変化させることができます。特にドアの存在感は唯一無二です。こうした部材だからこそ、わたしたちの技術もまた新しい意味を持つことができるのだと考えています。金属にはまだまだ無限の表情と可能性があります。私たちはそれらを具現化していくために技術を磨いています。