CASE STUDY 34
PLACE

横浜

OVERVIEW

案件事例

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階段が描くメタルスパイラル。

そもそも階段というのは、実に不思議な存在です。異なるフロアを移動する際に必要不可欠なものであり、2次元的な移動を3次元的な移動に変化させるとんでもない価値を持っています。上に上がる、下に下がるという行為によって、我々は重力の存在を体感することもできます。人間社会における階段の意味は深淵なのです。 だからこそ、強度、品質、存在価値のすべてにおいて、階段は重要な存在でもあります。そもそも、頑丈であることはマストです。人間が全体重を預けるだけではなく、駆け上がったり、駆け降りたりすることもあります。さらには、荷物を抱えて上がることも、複数人で使用することもあるでしょう。そのすべてに、完全な安心感でもって支え続けることが求められるのです。階段という存在に必要な機能は、私たち人の安心安全にもつながっています。

一気通貫の工程管理。

数多の階段を手がけてきた中でも、今回初となる取り組みがありました。それが、階段に美しい銅の加飾処理を施したのです。階段の形状自体がシンプルであったことから、加飾された金属処理が際立つ結果となりました。また、当初はこの金属処理した板材を納品するだけの仕事でしたが、最終的には施工も手掛けることになり、結果、階段全ての部材の開発を行うことができました。ひとえに、クライアントの皆様、設計の皆様の心意気であったと感謝しております。 我々が一手に手掛けられることで、階段そのものの完成度を高めることができます。安全面においても、しっかりと工場内での仮組みも含めた検証ができることは大きなメリットでした。やはり、階段に求められる安全性能を考慮した時には、すべて社内で検証が行える方がこちらも安心できます。特に今回は、加飾処理した金属との相性によっては、表面処理の検討が必要だと考えていたので、仕上がり工程も大変やりやすくなりました。

加飾処理が生む艶やかな表情。

階段という存在はある意味大きなものです。しかし、できる限り目立たせなくしたり軽やかにすることを望む傾向が強くなっていることも感じます。しかし今回は、目一杯存在感のある仕上がりであり、ある意味オブジェのような艶やかさが求められました。というのも、ラウンジとしての顔をもつ今回の空間においては、この階段の存在を高めることで空間全体の空気感に程よい緊張感が生まれました。 処理としては、構造体のスチールに銅を吹き付け研磨したのちに、VeroMetalで表面を整えていくというスタンダードなものですが、その大きさゆえにこれまでとは異なる存在感が作り出されています。常に、デザインの意図は完成して初めて具現化されるのですが、今回もまた驚きのある空間でした。