CASE STUDY 29
PLACE

アイチ金属

OVERVIEW

技術事例

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溶射梨地の黒色仕上げ。

わたしたちの塗装には溶射の技術を応用しています。これによって鉄材の防蝕するとともに表面に凹凸を作り出し、そこに塗装を行うことで塗膜の剥がれを防ぐことが目的です。また、独特の風合いが出てくることから、すでにわたしたちの基礎技術のひとつとなっています。しかし、あくまでこれは下地としてのお話し。そこで、さらに一歩進み、溶射した下地そのものに加飾処理を実現し、「仕上げた部材」としても活用できないか模索し続けてきました。というのも、溶射特有の梨地にはなんとも言えない味わいがあり、この仕上げを好むクライアントも多かったためです。しかし皮肉なことに、それらの開発自体を阻んできたのもまたこの梨地であるのです。 そこで我々は、処理剤を片っ端から試しつつ、加飾処理を行えないかと試してきました。結果、溶射素材を黒い仕上げに変換させる手法を編み出しました。これによって、明るいシルバーであった溶射後の素材の表面処理として、黒皮のような色味を実現することができます。

最終的に2社製品で実証実験。

最終的には2社の処理剤を使用するところにまで辿り着き、双方で有意な結果を導き出せました。さらに研究を実施したところ、最も黒くなる仕上がりとそうでないものの差として、処理剤そのものに含まれる防錆機能によるものという結論になっています。当然、処理剤としては部材仕上げ時の耐久性が求められることから、これらの効果は他の製品においても同じような結果になることがわかっています。 一方で、我々としては最終的な加飾処理としては、仕上げはこちらの思うような表情になってもらいたいわけですから、市販されている製品や、そもそも最終製品の仕上げ剤に用いられる処理剤では、仕上げコントロールが難しいという課題も浮き彫りになりました。これらは、処理剤を作っているメーカーとのやりとりを継続しており、現在ではある程度コントロール可能とできる技術習得が社内で進んでいる状況と相まって、より豊かな金属表情を作り出すことに大きく貢献できる内容となりつつあります。