CASE STUDY 12
PLACE

愛知県名古屋市

OVERVIEW

窓枠

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円の窓枠。

人が生活するだけ無数のデザインがあり、家のあり方がありますが、この家は中に入ったときに最も注目すべきポイントがあります。中庭に植えられた一本の木。夜になれば照明があたり、家の成長とともに大きな存在感を放つようになるでしょう。今回アイチ金属が手がけた中庭を囲む窓のフレームは、そのまま中庭とそこにある木を見つめるための額でもあります。 ガラス張りといえばアップルの店舗やアメリカの本社屋のように、すべてガラスで作られたような仕上がりも魅力的ですが、窓枠をしっかり見せる骨太な作りはどの角度からも閲覧できる絵画のような趣を生む点において、優れたデザインだと言えます。

複雑で、かつ加工。

窓枠というものは、実にシンプルな存在に見えますが、その加工は複雑です。それは、なによりもまず、安全性が強く求められることに起因します。そもそも窓枠にはガラスが嵌め込まれます。現代の強化ガラスはとてつもなく耐久性が高いですが、歪みかたに対して強い弱いが明確に存在しています。窓枠は、このガラスを固定する役割だけでなく、耐震性として歪みの吸収やわずかな遊びを作ることが重要なのです。 一方で、高温多湿な日本においては二重サッシも一般的に普及しており、こちらは上記のアプローチに加えて、さらにいくつかの機能が付加されています。こうしたベーシックな機能性を備えていることが大前提。その上で、意匠性が初めて語られることになるのです。単に美しい、カッコいいだけでは建築になりません。しっかりと基礎知識と、さらにその知識を高めるために勉強し続けてこそ、デザインに応えられる力になるのです。

仕上がってからも。

弊社が納品した品物は、すべて家の完成後が商品としての品質が試される場となります。窓枠といったものは、特にそれが顕著です。弊社では納品した品物に保証をつけていますが、それよりも長くそこで生活する人々を支える品物であるからです。耐用年数や、強度、安全性といったものは、すべてこうした品質につながっています。 我々はともすると、工場で作り上げ、納品した時点で全てが完了したように感じることも確かにあります。しかし、本当の部分ではそうではないのです。だからこそ、素材選びから加工方法、そして強度やあらゆる耐久テストなどをすべて経験に変えて、品物に消化していくための技術研鑽が必要不可欠です。最も難しく、最も重要な意識だと言えるかもしれません。